ニューヨークからボストンまでは、格安バスメガバスで4時間。
4時間の移動で窓際は窮屈で嫌だなと思い、
1ドル足して座席指定にし通路側の席を取った。
バスに乗ると私の席に別の人が座っている。
スマホの画面のチケットを見せて、言った。
This seat is mine.
確認する彼女のシートナンバーは11
前の席。
彼女と姉妹なの。
席を変わって
いや、窓際が嫌で指定取ったのに窓側と変わるわけにはいかない。
「私は通路側がいい。」
全然席を立つ気配がない。
喧嘩してもしょがないしと諦め、
前の席の窓際に座ろうとしたら通路側の中国のおじさんの荷物が山積み。
すると、右前に座っていたインドのおじさんが声をかけてくれた。
ここに座りなさい。
私が買った席だから。
前の方の通路側を指差している。
サンキュー。
で、なぜあなたはそこに座ってるのかな?
少しして家族づれが6人で乗ってきた。
ここは私の席です。
前から3列とりました。
インドのおじさんが呼ぶ。
ここに座りなさい。
おじさんが窓際に動き通路側をあけてくれた。
(いや、あなたはどこの席の指定席を買ってるの?)
手に持っているコーヒーを見せて、
コーヒー飲む?ってそれあなたのコーヒーでしょうが、多分飲みかけ。
ノー、サンキュー。
スマホを充電したくて席の下の電源に差し込む。うまくささらない。
私のプラグは全世界対応型。
ロンドンで使った部品がうまく元に収まらず、
アメリカ型のじゃまをしている。
時々ぽとっとプラグから落ちる。
おじさんが大胆な行動に出た。
これ直接させば?
いやいや。戸惑っている私をよそにiPhoneの充電器を直接さした。
あーあ
あれ?大丈夫じゃない!
どんどん充電している。
たしかに形は同じだけど、直接さしていいんだ!
ジャパニーズスタイルオッケー。って自信満々のおじさん。
ずっと鼻歌をうたっているおじさん。
私がサンドイッチを食べていると紙ナプキンをくれた。これ使いなさい。ゴミはあそこに袋があるから。
あなたは私のお父さん?
ボストンまでのこのバスを45ドルで買ったという。
「私は15ドルで買いましたよ。
帰りは10ドルですよ。」
目を丸くするおじさん。
「インターネットで早く買うと安いんですよ。」
私はオーストリアから来たんだよ。インドからオーストリアに行きニューヨークに来た。
I love this country.
息子が何人で、
娘が何人で、
孫が何人で、
妻はなくなった。
自己紹介が始まった。
長くなりそう。
適当に相槌をうっていたら、
また鼻歌に変わっていた。
突然、私のiPhoneのUSBを自分のiPadにつなげようとしたので、
No No.It’s Ok.
充分充電してますから。
他の人の電話が鳴ると、ハローとか応えているし。おじさん面白い。
歌っているか、喋っているか、寝ているか。
隣が賑やかで退屈しなかった。